
琉球大・北大特別セミナー「『境界(ボーダー)』を沖縄で考える」(1/23)参加記
2010/01/24
1月23日、緋寒桜が咲く琉球大学キャンパスにおいて琉球大・北大特別セミナー「『境界(ボーダー)』を沖縄で考える」が開催された。(プログラムはこちら)
今回のセミナーは沖縄専門家による報告と専門外報告との対話が「境界問題を比較・相対化する」方向に作用したように思われた。 専門外の報告に言及するすると、例えば中国現代史を専門とする石井明氏による「戦後中国の琉球・沖縄政策」においては、中華民国が台湾へ遷都後、「沖縄は中国の領域」と政策転換したのに対し、中華人民共和国は反米の観点から沖縄に対する領土要求とは無縁であったという、国家が陸上か海洋かによって境界概念が変化するという興味深い考察が示された。
また、前田弘毅氏は「『大陸島嶼』中央ユーラシア」において、山脈に囲まれたコーカサスと島嶼沖縄とは、多様性、多文化性が際立つ閉じられた空間と開かれた場という共通点がある一方で、大国の世界秩序に左右される存在であることが示された。
また、山崎幹根氏は、「国境隣接地域としての北海道の盛衰―国策による開発政策の成否」において、北海道と沖縄は、他の地域とは異なり「領域」の特設に由来する開発政策が国によって採られてきたという共通点がある一方で、まず北海道が円高やソ連崩壊といった国際環境の変化により「領域」としての意義を低下させ、国の開発政策が見直され、道としてガバナンスを向上しグローバル化と特性に対応したビジョンを示せるかが問われていることが説明された。今後、「基地なし」に直面するかもしれない沖縄が、「ソ連なし」北海道と同様の道を辿るのかが注目されるという。
最後に中村研一氏から、境界研究が、境界を低くする方向に注目し、国家以外のアクターで事情を説明したいのであれば、当該地域の1.領域性の伸縮性、2.国家統治の強さ、3.開発・発展モデルの適用性、4.アイデンティティ を考慮するべきで、その点から北海道と沖縄は、ユニークであるのではないか、しかし、実は日本の中央は弱く、何かの切っ掛けで崩れるようであれば沖縄独立という話も非現実的ではないのではないか、という刺激的なコメントがなされた。
本GCOEは首都ではなく、現場から境界を考え、発信することを目指しているが、その一方で、特殊性のみばかりでなく、世界各地域と共通する言語で事象を理解する必要もあり、今回の報告はその意味で境界研究を推し進める上で大変有意義であったように感じられた。(GCOE、藤森)


今回のセミナーは沖縄専門家による報告と専門外報告との対話が「境界問題を比較・相対化する」方向に作用したように思われた。 専門外の報告に言及するすると、例えば中国現代史を専門とする石井明氏による「戦後中国の琉球・沖縄政策」においては、中華民国が台湾へ遷都後、「沖縄は中国の領域」と政策転換したのに対し、中華人民共和国は反米の観点から沖縄に対する領土要求とは無縁であったという、国家が陸上か海洋かによって境界概念が変化するという興味深い考察が示された。
また、前田弘毅氏は「『大陸島嶼』中央ユーラシア」において、山脈に囲まれたコーカサスと島嶼沖縄とは、多様性、多文化性が際立つ閉じられた空間と開かれた場という共通点がある一方で、大国の世界秩序に左右される存在であることが示された。
また、山崎幹根氏は、「国境隣接地域としての北海道の盛衰―国策による開発政策の成否」において、北海道と沖縄は、他の地域とは異なり「領域」の特設に由来する開発政策が国によって採られてきたという共通点がある一方で、まず北海道が円高やソ連崩壊といった国際環境の変化により「領域」としての意義を低下させ、国の開発政策が見直され、道としてガバナンスを向上しグローバル化と特性に対応したビジョンを示せるかが問われていることが説明された。今後、「基地なし」に直面するかもしれない沖縄が、「ソ連なし」北海道と同様の道を辿るのかが注目されるという。
最後に中村研一氏から、境界研究が、境界を低くする方向に注目し、国家以外のアクターで事情を説明したいのであれば、当該地域の1.領域性の伸縮性、2.国家統治の強さ、3.開発・発展モデルの適用性、4.アイデンティティ を考慮するべきで、その点から北海道と沖縄は、ユニークであるのではないか、しかし、実は日本の中央は弱く、何かの切っ掛けで崩れるようであれば沖縄独立という話も非現実的ではないのではないか、という刺激的なコメントがなされた。
本GCOEは首都ではなく、現場から境界を考え、発信することを目指しているが、その一方で、特殊性のみばかりでなく、世界各地域と共通する言語で事象を理解する必要もあり、今回の報告はその意味で境界研究を推し進める上で大変有意義であったように感じられた。(GCOE、藤森)
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